2011年3月6日日曜日

ケーススタディ「旭硝子:EVAの導入」

こんにちは。
稲葉です。

今回は32日に行ったケーススタディ「旭硝子:EVAの導入」の内容についてお伝えします。

旭硝子は名前通り、ガラスを主力製品とするメーカーで、国内のみでなく、世界においてもほとんどの製品がトップシェアをとっています。今回、取り上げたのはグローバルトップ企業である旭硝子がさらなる企業価値の向上を目指して、経営指標としてEVA(Economic Value Addedを導入したケース。

ちなみにEVAとは企業が生み出した価値を測る指標で事業活動から得られた利益>から<投下資本にかかる資本コスト>を引くことで求めることができます。ぶっちゃけて言うと売上高営業利益率とかROAの仲間です。

このEVAは資本コストを考慮できるところが画期的だそうです。例えば、経営指標として営業利益率を用いた際には株主資本コスト(株主へ支払う配当とかですね)は考慮されません。損益計算書には他人資本コスト(負債の支払利息)は計上されても株主資本コストは計上されないので。
そのためEVAを用いれば、より適切な資本の利用を意識できるというわけです。

さて、前置きが長くなってしまいましたがディスカッションの内容をお伝えします。

ディスカッションはケーススタディの基本にのっとって
1.同社のビジネスの背景・経緯を整理
2.同社の経営の優れた点を分析
3.同社が抱える問題点を指摘
4.ケース終了時点で同社が打つべき打ち手の検討
という流れで行いました。

まず1では同社が創業後、比較的早めに海外展開を行ったことや高度経済成長期のメインバンク制による間接金融から資本市場を用いた直接金融へのシフト、そしてEVA導入の大まかな流れについて確認しました。

2で挙げられた優れた点は
①高い製品競争力⇒世界トップシェアの製品がほとんど
EVA導入を試みたこと⇒日本では先駆的&株主価値向上を考慮すれば妥当
③早めに海外展開したこと⇒挑戦的な企業文化を醸成

と言う3つですね。

また3で挙げられた問題点は
EVAによる評価が根付いていない
②カンパニー制移行によるカニバリゼーションの恐れ
③日本人従業員数を全体の6%に抑えるという目標設定⇒モチベーション低下の恐れ

と言う感じです。

①はまず資本コストの計算が難しく、従業員の間になじまなかったことやEVAの計算方法が企業ごとに異なるため、投資家とのコミュニケーションに使用できないという点が指摘されました。
②については一見大きな問題点のように見えますが、コーポレート部門と事業部門の線引きが明確化され共通業務をしっかりとコーポレートが担っていることや市場の共通性が低いことを考慮するとあまり問題ではないという結論に至りました。
③は日本人従業員数の割合を減らす=グローバルで活躍できる人材がそろうわけではないことや大きな不公平によるモチベーション低下の可能性が指摘されました。

これらを踏まえた今後取るべき戦略では
EVAの他にROAなどの指標を併用
②日本人従業員数の割合と言う目標設定をやめ、コンピテンシーモデルで有能な人材を評価

などが挙げられました。

今回のケーススタディではメンバー全員がEVAなどファイナンスの指標に関する理解が不十分だったことや議論の進行やコミュニケーションがまずかったこともあり、充実したケーススタディにすることができませんでした。

これを反省として各自、改善に結び付けていきたいところです。

次回は318日(金)ケーススタディ「資生堂:中国市場への参入」を行います!
参加を希望される方はお気軽にご連絡ください!

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