2011年7月28日木曜日

ケーススタディ「プロダクションIG:アニメというビジネス」

初めましてブログを書きます,熊本です.

暑さで溶けかかっていますが,7月14日(木)に行われたケースの報告です.

テーマ「プロダクションIG:アニメというビジネス」

参加者:7名

「ケース・スタディ:日本企業事例集」(HBS著)は製造業を取り扱ったものが多い中コンテンツ産業を扱った特異な事例です.

アニメ制作には莫大なコストがかかますが制作会社には資金がありません.

資金調達と利益の分配の場としての製作委員会というアニメ業界に固有の組織の理解に始まり,

巨大資本であるテレビ局に支配されていた状況の確認をしました.

業界の構造に挑んだことから本書に取り上げられたのでしょう.


変革

製作技術のマニュアル化,製作工程の分業化を進め,短期間での人材育成を可能にする.

出資をし作品の著作権を持ち,利益を生み出し,それを投資し次の利益へと結びつけていく.

今後どのような戦略を取るべきか?
◎ターゲットとなる層を増やす
攻殻機動隊に代表されるようにターゲットとなる層が大人向け・男性向けに偏っており非常に狭いです.

また,アメリカでの評価は非常に高いのに対し,日本ではコアなファンはいても一般まで広がっていません.

新たな層(女性層)を狙った作品を製作する.

◎IT を利用し新たな販路(配信チャンネル)を生み出す
現在のテレビ中心のチャンネルからの脱却し,より自身でコントロールできる市場を構築する.

ネットという存在がテレビというメディアにどのような影響を与えるのかとも関連してきます.



普段取り扱っている事例に比べ仮定が多くなり,議論が宙に浮いている感が否めませんでした.


次回の勉強会の日程及び内容は未定です,決定次第,再度HP上にて詳細をUPします.
それでは今後も多く方の参加をお待ちしております.

2011年7月7日木曜日

ケーススタディ「日産自動車:再生への挑戦」

こんにちは。田中です。
最近の仙台は30℃を越える日が日常化しつつありますが、一昨年などは30℃を越える日が数日しかなかったことを考えるとちょっと今年の天候は異常に感じてしまいます。
こんな時こそビアガーデンで思いっきりビールに浴びてみたいものですね。

さて本題に入ります。
先週630日(木)に今年4回目の活動を行いましたのでその報告を。

テーマ「日産自動車:再生への挑戦」

日産自動車は皆さんもご存知のように日本を代表する自動車メーカーです。
同社は90年代以降慢性的に最終赤字を記録するようになり、膨大な負債を抱え経営危機に陥りますが、
そこで新たな提携先に選ばれた企業がフランス・ルノー社であり、日産の経営を立て直す
為に99年にカルロス・ゴーン氏がCEOに指名されます。
以下ゴーン氏が行った改革(日産リバイバルプラン)の内容とその評価について重要なものを記していきます。


「機能横断型チーム(CFT:クロスファンクショナルチーム)の設置」
:官僚主義的な分断された社内組織において、機能横断型の解決策の策定の為に組織されました。
 また優秀なミドル以下をモチベーション向上にも大きな役割を果たしました。

「大規模なコスト削減」
工場閉鎖…国内生産能力の削減のため(背景に生産能力超過や過剰設備投資など)
調達先の絞込み…交渉力の強化、過剰品質の解消 →系列を解消し、後に鉄鋼業界の再編をもたらす。
販売組織の再編…小規模小売店の大規模集約化・効率化

「人事制度改革」
コミットメント…報酬・昇進と結び付けられた年間目標(必達目標)
ターゲット…実力よりも背伸びした目標(ストレッチ目標)
ここでは過去、成果主義の導入に失敗した企業(富士通など)を引き合いに出し
何故同社において成果主義が機能したのかについて話し合われました
(目標設定方法や公正な評価能力が重要に。入社数年の育成期間は年功賃金、後に成果主義賃金導入の組み合わせ方式など)

また他に評価されるポイントとして
・製品プラットフォームの統合・削減
・研究開発費を大きく削減しなかった点(長期的な競争力を保つ為)
などが挙げられました。

以上の改革を行い、日産自動車は01年には営業利益率4.8%02年同7.9%を記録するほどのV字回復を達成します。


一方課題として挙げられたのが
・大規模なコスト削減を果たした一方で売上高がほとんど上昇してない点
固定資産回転率(売上高/固定資産)の低さ →資産の効率的な活用が不十分
などです。



そして今後求められる戦略として
固定資産の縮小…生産の海外移転
代表的なブランド車の確立
EVやハイブリッドカーなど環境対応車の開発
などが挙げられました。


今回のケースを振り返って、特に印象に残ったのがゴーン氏のリーダーシップでした。自身の行った改革を振り返り以下のように述べています。

「最も重要な教訓は、明確な目標と戦略を示し、社員に権限を与え、注意深く結果を監視し、現実から目を話さないようにすれば、驚くほど大きな成果が生み出せるということです。」

上からの押し付けの改革ではなくボトム・ミドルからの提案型の改革であり、
ゴーン氏が日産自動車を、そして日本人を理解していたということが今回のケースを読んで感じとることができました。


今回は時間の関係もあり“今後の戦略”の部分について充分な議論ができなかったように思います。

また今回のケース以降(03年~)の同社の経営成績や戦略について、
次回の勉強会の頭にちょっと振り返る時間を設けてみたいと思います。


次回はプロダクション・アイジーというアニメ製作会社のケース・スタディを行います。
7月14日(木)17:0020:00に東北大学川内南キャンパス経済学部棟の第5演習室で行いますので、興味を持たれた方は是非ともお問い合わせください。