2011年9月16日金曜日

ケーススタディ「サムスン電子:グローバル・マーケティング」

どうも、嶋崎です。
先日、家の近くにリーズナブルで美味しいインドカレー屋さんを見つけてしまい、
卒業まで通い詰めてしまいそうで、我が胃の将来が心配です。(いつも辛さMAXにするため)


さて、先日サムスン電子(以下、サムスン)のケーススタディを行いましたので、その概要について書いていきます。
今まで扱ったケースの中にはパナソニックやシャープなどがあり、その度にサムスンが競合企業として議論に登場していたので、メンバーにとっては念願のケースでした。


サムスンは元々は農産物を生産する会社で、それから造船、化学、繊維などと事業を拡大し、その中で1969年にサムスン電子が設立されたそうです。
当初は、自社ブランドの製品は販売せず、OEMがメインでしたが、1993年の李健熙(イ・ゴンヒ)会長の新経営方針によって、高級品とブランド価値への投資にシフトし、大きな変貌を遂げました。
ちなみに李健熙会長は早稲田大学の商学部卒なんですね。


そして、ケースの内容の中で。主に以下の論点で議論しました。

1. ハードとソフトの融合について
2. 垂直統合について
3. マーケティングについて


まず、ハードとソフトの融合についてです。
サムスンはソフトに関する事業には参入せず、ハードへの集中投資を行っています。
この動きは、Appleやソニーなどの企業と異なる動きです。
その結果、ソフトに対してはオープンにし様々なソフトウェアを使えるようになりました。
この動きには、顧客を囲い込みしにくいといったデメリットがありますが、ソフトウェアやコンテンツを自社で保護する必要性がないことは、大きなメリットであると感じました。


次に垂直統合(主にデバイス)についてです。
製品ライフサイクルが比較的早い電子機器を扱う企業は、外部委託(またまたAppleのように)が主流であるのに対し、サムスンは自社による製造に注力していました。
設備投資と在庫のリスクを背負いますが、供給先企業への特注品を作るためのスピードやフレキシブルさが得られ、結果的にサムスンのメモリーチップの平均価格は業界水準を17%上回っていました。


次にマーケティングについてですが、先ほども少し触れましたがサムスンは高級ブランドとして認められることを目指しています。
そのため、オリンピックスポンサーになることや、製品ではなくコーポレートブランドを押し出した広告を積極的に展開しています。
また、サムスンは地域専門家制度というものを設けていて、一つの国のことを調べるのに相当な予算を割いています。
ブランドを主に、コーポレートブランドに集中し、サブブランドを使用しなかったことも、成功要因だったのではないかという意見も出ました。


個人的にこれから気になるのは、近日、韓国政府が、サムスンに対してAndroidを放棄して対抗OSを開発することを要求したことですね。前述の通り、今までソフト開発に注力してこなかったサムスンはどう出るのでしょうか。


そして今回は、勉強会終了後に海外に留学するメンバーへの
送別会を行いました。なお次回の勉強会は、9月22日(木)16時から
プレゼン&ディスカッション形式(会計、経済、IT)で行う予定です。

2011年9月1日木曜日

ケーススタディ「楽天:Eコマース事業の創造」

こんにちは。田中です。
とうとう8月も終わってしまいましたね。
仙台も以前と比べてだいぶ涼しくなってきました。

さて、本日91日に楽天のケーススタディを行いましたのでその詳細を。

テーマ「楽天:Eコマース事業の創造」

楽天はみなさんもご存知、楽天市場を中心にトラベル事業や金融事業を行う日本を代表するEコマース企業です。
楽天市場というインターネット上の空間に多くの店舗に出店してもらい、手数料や広告料で収益を得るようなビジネスです。

創業(1997年)から04年までの同社の事業を分析し、
今後成長するための戦略についてディスカッションしました。

ちなみに03年の同社の経営成績について
売上高:180億(前年比83%増)
営業利益:47
(営業利益率:26.3%
税引前純利益:44
(税引前利益率:24.5%
04年度1Qにおけるセグメント別売上高はEC事業(43.2)ポータル事業(13.6%)旅行・エンターテイメント事業(14.0%)金融事業(31.6%)です)


1.なぜ楽天はEC事業に成功したのか
・競合よりも安い出店加盟料(競合の一般的な加盟料は20-30万円、一方同社は5万円)
・加盟店への教育システム(楽天大学を設置し、加盟店に販売や技術的な教育を行う)
・加盟店の品質と信頼性の管理
・豊富な商品ラインナップ
・営業力の強さ
コスト構造については熊本さんの説明が非常に参考になりました。
楽天の創業期(97年)頃は自前のサーバーを用意する必要があり、今のようにクラウドが普及していなかった為、現在ほどネット上でのビジネスへの参入が容易ではありませんでした。
そのため後発の企業も楽天の事業を模倣しづらかったというのが背景にあるかもしれませんね。

2.事業多角化について
2000年の株式公開以降、同社は積極的なM&Aの活用により事業を多角化します。
2000年のインフォシーク買収、03年のDLJディレクト証券買収など)

事業を多角化する際には
・既存の事業とシナジーがあるか
・経営資源が分散しないか
という点を考える必要があります。

その視点から同社が行ってきた多角化は既存事業とのシナジーを生み出すものが多く
多角化させることにより楽天が提供するインターネット上の空間の価値を高めることに成功したように思います。
一方、ポータル事業(インフォシーク)については買収以降Yahoo!google,MSNと比べて存在感が低下しており、
今後も果たしてポータル事業を継続していく合理性があるのかどうかが話し合われました。
(買収時にはインフォシークユーザーを楽天に取り込む大きな役割を果たしたと思われます)

そして最後に、今後同社に求められる戦略や新しいサービスの立案を行いました。
・     同社の強みであるトラベル事業を中心に、中国をはじめとする途上国への事業展開
・     医療や福祉、教育とインターネットを組み合わせたサービスの構築
・     ぐるなびやホットペッパーのような飲食店の紹介サイト
(下の二つについては楽天市場と組み合わせる戦略で事業シナジーが生まれるのではないかと思います)


現在多くの日本企業では国内のマーケット縮小に伴い、海外への事業展開が急ピッチで行われています。
楽天も英語社内公用語化を進めていることからもわかるよう他社同様に海外展開に力を入れていますが、
一方国内においても多くのビジネスチャンスが転がっており、新たなサービスの考案次第で国内でも成長の機会が豊富に存在しているのではないかと感じました。


 



次回の勉強会は98日(木)17:00-20:00
「サムスン電子:グローバルマーケティング」のケーススタディを行います。
興味のある方は是非ともお気軽にお問い合わせください。